料理には魔術がある。新鮮なハーブを刻むと、その香りは空飛ぶの絨毯となりなんでもない台所を異国に運ぶ。コリアンダーの青っぽい香りに、カラフルなマーケットの喧噪が蘇る。
夏に美味しいハーブは沢山あるけれどコリアンダーにこだわるのは、きっとコリアンダーの風味が、アジアの暑い国を旅した思い出にぎゅっと篭もっているから。コリアンダ- の匂いを感じると、タイやインドでの旅の記憶がひもとかれる。嗅覚が鍵で、とれでとかれた魔法は五感にあっという間に行き渡る。土地の様子はもちろん、当時の自分の気持ちまで映し出されてくる。旅して、やたら繊細で「ハイ」になっている心、、、。ニューハンプシャーの長い冬の間には忘れさられているような、夏ならではのキラキラした気持ちが、コリアンダーとともに暑くなると帰ってくる。ちょっと若返ってみたいな思い。
コリアンダーの魔術は旅の思い出を呼び起こすだけではなく、勿論その場での味覚にもかけられるもの。和食で三つ葉や紫蘇をつかう所をコリアンダーにかえるだけで、エキゾチックなアジアンテイストに早替わり。まだアジアを旅したことのない息子にも、いまのうちからあの異国でありながら懐かしい土地の味覚の種をまいておこう。いつか一緒に旅することを願いながら。
ニューヨークの小さなベランダで鉢植えで簡単に育てられたし、ここの畑でも何年も前に種から育てたコリアンダーが毎年春になると、新たに種を撒くことなしに蘇ってくる。その生命力にも脱帽!
★材料
(3人分)
きぬこし豆腐
1丁
コリアンダーを刻んだもの
1カップ
きゅうり
1本
アボガト
1つ
醤油
適量
胡麻油
適量
ナンプラー(オプショナル)
適量
★作り方
(5~15分)
1.
豆腐は一口大、きゅうりは斜めにスライス、アボガトは半分にしたものをスライスして、皿に盛る。
2.
刻んだコリアンダーをパラパラとその上にのせる。
3.
醤油、ナンプラー、胡麻油をこのみの量で混ぜたソースをかけて召しあがれ。
中身の野菜をきゅうりから、ゆでた茄子(または焼き茄子)、トマト等の夏野菜にしたり、素麺を加えたりバリエーションをたのしんで!!